実験結果レポート

AIの「迷い」で
UIの品質を測る

シンプルなフォーム(3項目)と複雑なフォーム(18項目)を AIエージェントに操作させた結果、認知負荷スコアに7.1倍の差が出ました。

7.1x
認知負荷の差
シンプル vs 複雑フォーム(テキストモデル)
13.5x
ビジョンモデルの差
良いUI vs 悪いUI(スクリーンショットベース)
17回
複雑フォームのリトライ
18項目フォームでAIが迷った回数

実験1: フォームの複雑さと認知負荷

テキストモデル (qwen3:4b) — DOM テキスト入力

経費精算フォーム

3フィールド(日付・経路・金額)

シンプル
8,431
出力トークン7,931
ステップ数5
リトライ0
成功Yes

問い合わせフォーム

18フィールド + CAPTCHA + 利用規約

複雑
60,008
出力トークン49,508
ステップ数20
リトライ17
成功No

この結果が意味すること

フィールド数が6倍(3→18)なのに対し、認知負荷スコアは7.1倍。 単純にフィールドが増えるだけでなく、リトライ17回が示すように AIが繰り返し要素の特定に失敗しています。 これは人間にとっても「どこに何を入力すればいいかわからない」状態に相当します。

実験2: テキスト vs ビジョンモデル

同じ UI を異なる入力方式で比較

条件モデル悪いUI (v1)良いUI (v2)方向
テキスト (DOM)qwen3:4b8,4969,655↑ 逆転
ビジョン (スクショ)qwen3-vl:4b994100✓ 正しい

なぜ逆転するのか

テキストモデルは HTML の DOM テキストをそのまま入力として受け取ります。 良いUI (v2) ほど丁寧なラベル・説明文が多いため、入力が長くなり出力トークンも増加します。 つまりテキストモデルは「UIの認知負荷」ではなく「DOMの情報密度」を測っています。

ビジョンモデルはスクリーンショットを画像として認識するため、 DOM テキスト量に左右されません。入力トークン数が同一(画像解像度ベース)なので、 出力の差は純粋に「画面の視覚的な明快さ」を反映しています。

重要な知見

1

リトライ数が最も安定した指標

出力トークンやステップ数は条件によって変動しますが、リトライ数は一貫して「悪いUI」で多くなりました。

2

テキスト + ビジョンの複合評価が最適

テキストは「操作フローの複雑さ」、ビジョンは「見た目の明快さ」を測ります。両方を組み合わせることで多角的な評価が可能に。

3

4B ビジョンモデルの限界

シングルステップの画面認識は正確ですが、マルチステップのタスク完遂には 8B 以上のモデルが必要です。

4

フィールド数 × 曖昧さ = 認知負荷

単にフィールドが多いだけでなく、ラベルが曖昧だとリトライが爆発し、スコアが非線形に増加します。

認知負荷スコアの算出

cognitive_load_score = output_tokens + step_count × 100 + retry_count × 500
output_tokens
LLMの「思考量」
重み: ×1
step_count
操作の複雑さ
重み: ×100
retry_count
「迷い」の強さ
重み: ×500

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